Case-22

主訴

上顎 前歯部の前突(出っ歯)、上顎中切歯の歯頸部(歯肉と接している領域)の二次カリエス(虫歯)による歯頸部

  の黒色の変色、歯槽膿漏、噛み合わせの問題による来院。
   

術後

上下顎にインプラントを埋入を行い、メタルセラミックスブリッジを装着。

 


歯 科 医 師

二宮祐介(ニノデンタルオフィス) 

 

歯科技工士

 

小田中康裕

 

 

上顎 前歯部の前突(出っ歯)、上顎中切歯の歯頸部(歯肉と接している領域)の二次カリエス(虫歯)による歯頸部の黒色の変色、歯槽膿漏、噛み合わせの問題による来院。初診時の正面観の口腔内写真。

 

上顎前歯に4本装着されているセラミックスクラウンは下顎前歯の突き上げにより前突しているように思えますが、突き上げによる症状の側切歯と、犬歯のコンタクトポイントが離れていないために、前突(出っ歯)のままメタルセラミックスクラウンが製作されていたことが判ります。これによりこの患者は「出っ歯」というコンプレックスを抱えたまま、生活を過ごすこととなります。

 

この患者の口を閉じた状態と、会話時の状態の口元です。口を閉じた状態でも歯が見えています。この前歯4本を入れた当時、この患者はあまり審美には関心がなく、元のように治ればいいと思っていた程度だったのかもしれませんが、歯科関係者は事務的に治療するのではなく、歯の神経等の問題はありますが、この前突(出っ歯)を治すための提案はするべきでした。

 

初診時の側方面観の口腔内写真。上記でも述べましたが、上顎前歯に4本装着されているセラミックスクラウンは下顎前歯の突き上げにより前突しているように思えますが、突き上げによる側切歯と、犬歯のコンタクトポイントが離れていないために、前突(出っ歯)のままメタルセラミックスクラウンが製作されていたことが判ります。

 

また、上下の臼歯も無いために、顎の位置はこの患者の持つ顎の位置にはなく、下顎は本来の位置よりも後方に偏位しています。

初診時の咬合面観の口腔内写真。上顎の左側(写真では向かって右側)は第1小臼歯以外臼歯はありません。残っているこの小臼歯は、犬歯と位置関係は歯槽膿漏と下顎が後方に位置することにより、犬歯とは離れています(本来はこんなに離れていません)。

 

上顎の右側(写真では向かって左側)は保険の銀合金のクラウンが装着されています。通常は12%パラジューム合金が子にによって推奨されていますが、銀の含有率が多い場合には、口腔内にてこういった黒ずみが見られることが多々あります。こうしてカラットを下げることは違法ではありませんが、何のためにこのようにカラットを下げて補綴物を納品しているのでしょうか?全てはお金です。これは歯科医師が指示をしてカラットを下げる指示を出したのか、技工士が銀の含有量を多くして利幅を増やしているものかは私には判りません(しかし、保険治療は国からの点数も低く、あまり責められるものでもありません)。

もう一度、誰が一番泣きを見ているのかを考えるべきです。

初診時の口元写真。

インプラントが埋入され後に、アバットメント(金色の柱)が装着された状態の口腔内

上顎に装着したメタルセラミックスのインプラントブリッジ。患者はクラウンの色の指示を「B1・A1」ぐらいの色調を希望。写真の都合で若干暗めに撮影して、天然歯らしい、複雑な色調が判るように撮影している。

下顎に装着したメタルセラミックスのインプラントブリッジ。

上下顎に装着したメタルセラミックスのインプラントブリッジの咬合状態の側方面観。

上顎に装着したメタルセラミックスのインプラントブリッジの咬合面観。

下顎に装着したメタルセラミックスのインプラントブリッジの咬合面観。

上下顎に装着したメタルセラミックスのインプラントブリッジの正面観。

上下顎に装着したメタルセラミックスのインプラントブリッジの口元。

術前、術後の口元の違い。補綴物により大きく口唇の形態、笑ったときの口元の形態が変わっていることに注目していただきたい。