歯で困っている皆様へ

 

歯科技工士とは?

皆さんは自費の治療で、前歯のセラミックスを被せる歯科治療を行うときには、歯科医院を調べ、歯科治療を受けていることが多いと思います。しかし、審美歯科における成功のカギを握るのは、補綴物(セラミックスの被せ物の歯・等)の善し悪しと言っても過言ではなく、その補綴物を製作している歯科技工士の技術の要素が大きく関わってきます。

しかし、皆さんは、この補綴物を製作している技工士の存在を意識せずに、ここに関しては、ただ 漠然と 歯科医院に通っていることと


思います。それは、歯科技工士が患者の前に姿を現し、患者とコミュニケーションを図ることが少なかったため、歯科技工士の存在を意識したことは無いのは当然のことと思います。

 

もし、あなたが希望すれば、技工士と相談をして補綴物を製作することも可能です(自費治療の場合)。すでにこのシステムを取り入れている歯科医院は多くはありませんが存在しますし、患者であるあなたが、それを望めば歯科医院ではそれを行ってくれます。また、あなたが知っている歯科技工士を指名すれば、それを行うこともできます(遠方の場合には難しいです)。

 

 

本来の歯科技工士の在り方

ここのところを美容院に置き換えて考えてみましょう。自分の髪の毛をデザインしカットするときに。自分の頭、顔、髪の毛の質を考慮せずに無造作にカットされることを想像してみてください。もし、あなたはお気に入りの美容院、床屋が見つかると、あなたはそこに通い、そこで、もし気に入った店員が居れば、その人を次からは指名することでしょうし、本当にお気に入りになれば少々高い料金でもそこに通い続けることでしょう。

 



髪の毛の場合には、もし、カットがあなたの顔に似合わないデザインになったと
しても、期間を待って、美容院を変え、髪の毛をカットをし直せば、あなたの顔にマッチングする髪型を手に入れることができることでしょう。

 

しかし、歯科医院であなたの前歯を治療するときに美容院に行く時のように、自分の口元をイメージして通院したことはあったでしょうか?

 

よく耳にすることは、気に入った美容院、気になる美容院に髪をカットしに行く場合には、わざわざ遠出して髪を切ってもらうのに、自分の顔貌、口元、キャラクター、健康を司る歯科医院に通う事に対しては、遠いから面倒臭い、近所に行きつけの歯科医院があるからといって、推薦した歯科医院を躊躇される方が多くいられます。美容院に行くよりも何十倍も高い治療費を支払っているのにもかかわらずです。また、自費の歯科治療は髪の毛のように何度も何度もやり直せるわけではありません。

あなたはヘアースタイルにこだわるように、自分の前歯の治療時にこだわりを持ったことがありますか?
あなたはヘアースタイルにこだわるように、自分の前歯の治療時にこだわりを持ったことがありますか?

そこで我々は従来の事務的に歯科医師が色を選択肢し、形態を決め歯科技工士にその事務的な指示だけを送るという治療ではなく、個々の顔に合った補綴物(セラミックスクラウン)を仕上げ、歯科医院に納品をするというのが本来の歯科技工士の姿と考えています。

 

私が29歳(1994年)の時。私がWIlli Geller氏のラボに留学していた時の様子。私に患者を受け持たせてもらった時の上顎中切歯2本のセラミックスクラウンのケース。

 

 

Willi Geller

上記で述べてきたことを歯科技工士界でも40年前(2022年現在)から唱えている人がいました。それはわたしが所属しているグループの創始者 Willi Geller氏であります。氏は、スイスの歯科技工士であり、世界で審美歯科のトップを走り続けている Willi Geller氏のコンセプトは、

 

「患者の顔貌、口元にも個々の個性があり、我々はそれに合わせた補綴物を製作するべきだ」

 

 と謳い、「oral design」という言葉を提唱し、世界にこの考えを広めました。

「oral design」の創始者 Willi Geller氏。
「oral design」の創始者 Willi Geller氏。

 

日本では、欧米の歯科治療とはシステムが違うことと、国民のデンタルIQが他国に比べて低いために、なかなかこのシステムの普及は、他国と比べてどうしても遅く、このシステムを取り入れられるにはどうしても時間がかかりました。それには、日本はアジア独特の儒教からくる上下関係が強すぎることにより、歯科技工士の提案を歯科医師は聞く耳を持たないこともあるのかもしれません。やっと、このシステム、この考えが最近になって、患者主体の治療が行える時代がやってきました。

 

スイス・CENDRES METAUXで、私の講習会を行なった時の記念写真。このようにして世界の歯科技工士達と交流しています。    前列中央にいるのが、oral design グループの創始者 Willi Geller氏。向かって左から前列3番目が、私(小田中康裕)です。
スイス・CENDRES METAUXで、私の講習会を行なった時の記念写真。このようにして世界の歯科技工士達と交流しています。 前列中央にいるのが、oral design グループの創始者 Willi Geller氏。向かって左から前列3番目が、私(小田中康裕)です。

 

 

世界の中の日本の歯科技工士のポジション

日本の歯科界(歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士)の中で、世界で活躍している一番の職種は歯科技工士です。世界の歯科技工士界は、日本の歯科技工士に対して注目をしていますし、審美歯科の中では日本の歯科技工士は世界の中でもトップレベルであるというのは過言ではありません。

 

そういうわけで、日本の歯科技工は世界の中でも先進国であり、言い換えれば「クールジャパン」の一つとも言えます。ここに関しては、日本の古くからの歯科技工の文化であり、このことについては歯科界の中では常識でありますが、これは対世界の歯科界の話であり、日本の中ではあくまでの「患者 - 歯科医師 - 歯科技工士」というだけの関係ですので、世間には歯科技工士のこういったレベル、こういったクールジャパンが生かされず、事務的な仕事、料金を叩かれている仕事が行われます。この日本の歯科技工が世界の中でもトップレベルの話は、残念ながら一般には知られている話ではありませんし、歯科界でここに気がついている人もあまりいません・・・

 

中国技工

上記の話とは反対に歯科医師の経済的な理由から中国補綴物が日本の歯科界に流れてきています(中国技工の補綴物が違法ではないですが、歯科医師はそこのところを患者に説明する義務が生じます。なかなかオープンにそのことを話す歯科医師はいないと思いますが・・・)。

 

 

ということは・・・・・・・皆さんはご存じないかもしれませんが、日本の歯科治療ではこの世界のトップを走っている日本の歯科技工と、歯科文化では特に開発途上の中国歯科技工*の補綴物セラミックスが混在している世界ということになります。このことは一般には知られている話ではありません。

 

補綴物を中国技工に依頼の場合、歯科医師は患者に説明義務が生じます。

これは、今まで歯科技工という職業が、一般的に表に出る職業でなかったが為に、生じた結果でもあります。しかし、歯科医院と中国技工のこの取引は、日本の国家試験を取得した歯科技工士の意味は存在しないものとなります。教育レベルの高い歯科技工士が日本に存在しているのにも関わらず、歯科医院が、あえて中国技工に仕事を発注する意味は、どこにあるのでしょうか?このシステムで利権が生じるのは歯科医師です。セラミックスクラウンの場合には日本の技工料金と中国の技工料金との少しの差額(数千円)を、歯科医師が得たいが為に生じている問題なのです。 

 

中国技工とは、日本の歯科医師が患者の補綴物を中国の技工所に依頼することを指しますが、本当はもう少し根が深く、日本の大手の歯科技工所が中国の技工所と提携をして、その技工所に仕事を横流しし、差額分の技工料金を浮かしている商売を行っています。それだけではなく、問題は中国技工で、何の材料を使われているのかが判らないものを、あなたの口の中に入れられるということです。残念ながら、ここに関しては歯科医師界、厚生労働省ともに黙認しており、その上で行われていることです。ここについては、川島 晢氏のウェブサイト「KAWASHIMA  WORLD」に詳しいことが書かれているので興味のある方は是非閲覧願いたい。

 

*中国技工物

中国の経済と比例して、設備等は先進国と同じ最新の物ですが、歯科技工の歴史は浅く、

理論等が追いついていない事と、日本の歯科材料に対する法律と中 国の法が違うために、

材料は何を使われているか判断できませんし、調べる術もありません。

 

 

安心して歯科院に通うためには。

そこで、皆さんが自分の口に入っている補綴物を、誰が製作しているのかを一度でも考えたことがあるでしょうか?!自分の身を守るのはあなた自身です。こういう時代だからこそ、歯科医院を調べるように、歯科技工(補綴物)に関心を持たなければならない時代がやってきたのです!! 信用をしている歯科医院だからといって、綺麗なセラミックスクラウンが自分の口の中に入るとは限りません。ここは、患者さん自身で、私が上記で述べたことを注意深く確認をしなければ、自分のイメージとは全く違うものが、あなたの口の中に装着されるかもしれません。

 

補綴物(セラミックスの被せ物の歯・等)を誰に製作依頼するか、補綴物のコストの決定権を持っているのは基本的に歯科医師です。我々日本の歯科技工士はそこに対して決定権はありません。ここではあくまでも歯科技工士を指名する決定権基本的には歯科医師にあると記入しましたが、もう一人決定権を持っている人がいます。それは、患者である「あなた自身」です。これは距離的なものは関係ありません。私は東京に在住していますが、北海道から、沖縄まで、または海外からの仕事の依頼があればお引き受けいたします。患者さんが私を指名してくれるだけでこれは成り立ちます。

 

 

*日本の技工こぼれ話 -1

治療費の高い歯科医院、立地の良い歯科医院は、必ずしも良い歯科技工士と組んで仕事をおこなっているわけではありません。正直に言いますと、良い歯科技工士と組んで仕事をおこなっていないという確率の方が高いというのが現場です。それは、一般の日本人のデンタル IQが他国に比べ低く、あの歯科医師は痛くない、優しい物言いだとか、治療とは関係ないところに目が行き、本来の治療、技工士が製作している補綴物(入れ歯、差し歯、銀歯、金歯等)に興味を持っていないからに他なりません。そのために、安くて、ほどほどのクォリティーでいいというものを、歯科医師はあなた方の口の中に入れてしまうのです。その最たるものが、上記でも述べた中国技工という問題に繋がっていくのです。

 

*日本の技工こぼれ話 -2

歯科医院の中には 、我々の歯科技工物を普段は安価な技工料金のランクのものを指定しながら、自分の身内等になるとランクをあげた技工料金の物を依頼してくる歯科医師がおります。本来、身内の治療は治療費を受け取っているわけでは無いのに、身内だからといって審美的に良い物を依頼し、通常の患者からはお金をとっているのにもかかわらず、安価な技工料金のもので良いという姿勢は、いかがなものでしょう?!と、こういった状況にいつも疑問に感じながら仕事をしています。

  

ウェブサイトには、メーカーや、いろんな所からひな形の写真、図を持ってきて、自分の仕事とは違うものをアップされているもの、また仕事の写真が小さすぎて、肝心なところがよく見えないというものがあります。真面目に仕事に取り組んでいる歯科医師、歯科技工士であれば自分の治療に関わった症例写真の一つや二つは持っているはずです。そういう症例写真が無い歯科医院のウェブサイトや、歯科技工士のウェブサイトは首をかしげざるおえません。

 

我々の症例ケースは、はっきりと症例をお見せいたしますし、全て我々の技工所が手がけたものです。是非「症例・CASE」を閲覧してください)

 

 信用をしている歯科医院だからといって、綺麗なセラミックスクラウンが自分の口の中に入るとは限りません。ここについては患者さん自身が確認をしなければ、自分のイメージとは全く違うものが、あなたの口の中に装着されるかもしれません。